理事長挨拶

作成日:2016.09.27
更新日:2022.08.24

ご挨拶

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理事長 大賀 正一

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副理事長
菱木 知郎

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副理事長
真部 淳

2022年(令和4年)7月1日付で、一般社団法人日本小児血液・がん学会理事長2期目を拝命致しました。2020年COVID-19感染拡大とともにこの大役を仰せつかりましたが、今回も第7波とともに新体制が発足しました。第7波は小児に広がり、基礎疾患をもつ児の治療に影響がでないよう現場は奮闘の毎日です。地域・広域の連携基盤を強化下さいますようお願い申し上げます。

コロナ禍の2年間にがんゲノム医療が実装され、分子標的療法、CAR-T療法などの免疫療法が国内で進み、また在宅診療も広がってきました。学術集会や研修会の開催形態も国内外で変化しました。この変革の中で、長期フォローアップとAYA世代、成人と次世代の移行期医療、ドラッグラグ、サブスペシャリティや専門医認定、そしてゲノム医療と遺伝カウンセリングへ新しい取り組みが必要です。会員一丸となって努力してまいります。

日本小児血液学会(1960年設立)と日本小児がん学会(1985年設立)が2011年に合併した本学会も10年をこえました。歴代理事長(石井榮一先生、堀部敬三先生、檜山英三先生、細井創先生)は、小児の血液疾患とがんに関する医学・医療の質向上のため本学会の基盤を築かれ、学術集会は2022年で64回(越永従道先生)を数えます。医師、看護師などを中心に2千名をこえる会員数の一般社団法人で専門医制度を確立した日本小児科学会の分科会です。大学病院、小児病院及び小児がん拠点病院を中心に全国のこどもたちに最新の治療をお届けできるよう会員一同は日々努力を重ねています。多領域の専門医が心を一つに叡智を結集して邁進してまいります。

学会には国際的にもこの学術領域の医学を発展させ、国内の連携を深めて診療の質を向上させる基盤の確立を求められます。国のがん対策協議会では小児がん医療に最も深く関わる唯一の学術団体であり、専門医を養成し認定する使命があります。白血病・リンパ腫、神経芽腫をはじめとする固形腫瘍、造血障害・免疫不全、血友病などの治療成績は、本学会の歴史とともに向上しました。脳腫瘍や厳しい希少難病に挑むこどもたちが待っています。小児で始まった層別化治療の歴史は、造血細胞移植、免疫・分子標的療法、再生医療、遺伝子治療、ゲノム医療の進化とともに、個別化医療へと向かっています。血液疾患・がん特有のゲノム医療と発症前診断、虐待、教育などの問題に、医学と医療の両面から長期的視点で取り組みます。働き方改革、男女共同参画、医療経済などへの対応も必要です。早期診断から健診と予防へ向かう未来へ動き始めています。

基礎研究から臨床研究へ発展させる優しく優秀な若い世代が患児を救う原動力です。質の高いセミナーもWeb開催で身近になり、Globalな情報収集をLocalに生かす時代になりました。患児とご家族、そして医療者の思いが届くよう、中立性と透明性をもって社会への啓発活動も広げてまいります。本学会の原点である専門性の高い会員の全国の輪が、世代を超えてこどもたちのために発展するよう努めます。更なるご指導とご支援をお願い申し上げます。

日本小児血液・がん学会
理事長 大賀 正一
(九州大学大学院医学研究院成長発達医学[小児科])