理事長挨拶
作成日:2016.09.27
更新日:2024.07.01
ご挨拶
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2024年(令和6年)6月の社員総会で一般社団法人日本小児血液・がん学会理事長を拝命いたしました。1980年代後半に駆け出しの小児外科医として小児がん診療に関わり始めた頃から日本小児がん学会ならびに本学会に育てていただきました。その恩返しと考え、定年までの最後の2年間ご奉公するべく立候補いたしましたが、皆様の暖かいご支援を頂戴し、こうして学会の舵取り役を仰せつかってみると本当に身が引き締まる思いです。
2011年に小児血液学会(1960年設立)と小児がん学会(1985年設立)が合併して本学会が誕生した際に理事として参加いたしました。小児血液と小児がん両方の疾患をカバーする学術団体としてどのように発展していくか、初代 石井 榮一 理事長以下理事会メンバーで熱く議論したことを思い出します。その後、堀部 敬三 先生、檜山 英三 先生、細井 創 先生、大賀 正一 先生(2期)とご高名な先生方が歴代理事長を務められました。私は大賀理事長1期目には副理事長を拝命し、間近で理事長職の重さと大変さを拝見いたしました。これまで理事長を務められた先生方と比べると遙かに能力は劣りますが、熱意と丈夫な身体を頼りに外科医らしく理事長としての勤めを果たしたいと考えております。
理事長としての目標は以下の通りです。
1.学会の改革:私が退任予定の2026年には学会設立15周年を迎えます。最初に熟考して作成された定款・定款施行細則ですが、時代の変化とともに現状に合わなくなっている部分もございます。10年、20年後の学会のあり方を見据えて、定款・定款施行細則を見直す作業を行いたいと考えております。このために、「将来計画委員会」を理事長諮問委員会として立ち上げて作業を開始したいと思います。
2.専門医制度の整備:日本専門医機構認定に向けて、これまで多くの方々が本学会専門医制度の改訂作業にご尽力くださいました。あと一息のところまで来ていると伺っております。私自身も長年本学会専門医制度に携わってきた中で、専門医制度が後進を育成するためにいかに重要であるか身をもって体験いたしました。機構認定も重要ですが、それ自体が目標ではなく、この領域の専門家になるために熱意をもってやってきてくれる若手を如何に優秀な専門医に育てるかが究極の目標であると考えています。そのために専門医制度委員会や理事会メンバーとともに制度整備に邁進していく所存です。
3.国際協力の推進:諸先輩のご努力で日本の小児血液・がん領域は、研究・臨床いずれのレベルも国際的に高い評価を得ていると思います。ただ、世界に目を向けてみるとまだまだ救えるいのちが救えていない現状がございます。WHOがGlobal Initiative for Childhood Cancer(GICC)を掲げ、2030年までに世界の小児がん患児の生存率60%を目指すという目標を立てております。これを達成するため私達にできることは何でしょうか?血液疾患も含めたアジア諸国の学術団体と緊密に協力することで、こども達の治療成績向上に貢献できればと思っております。
4.女性医師の活躍:小児医療には女性の目線が必要不可欠と考えています。本学会にはまだまだ女性医師にご活躍いただく場があると思います。私はこれまでとても優秀な女性医師の方々と一緒に仕事をさせていただきました。優秀な人材に適切な立場でこれまで以上にご活躍いただくためにはどうすればよいか?すでに活動している女性医師活躍支援委員会と協力して、積極的にこの問題に取り組んで参りたいと思っております。
以上、新任理事長としての所懐を述べさせていただきました。
新たに副理事長として 盛武 浩 先生、加藤 元博 先生にご就任いただきました。優秀なお二人に支えていただくことができて大変心強く思っております。盛武先生には地方の代表、加藤先生には若手の代表としての役割を中心としてご活躍いただきたいと考えております。
本学会は患児とご家族が笑顔になっていただくことを目標とし、治療研究に関わるあらゆる領域の専門家が「小児血液・がん」というキーワードで集結した志の高い学術団体です。次世代を担う優秀な若手の育成を行って、質の高い持続可能な小児血液・がん領域の研究・診療システムの構築を目指します。
みなさまの暖かいご支援を賜りますよう切にお願い申し上げます。
日本小児血液・がん学会
理事長 米田 光宏
(国立成育医療研究センター外科・腫瘍外科/国立がん研究センター小児腫瘍外科)